オーバーランの報告

 110kmからの惰性運行後進入の100km超という仮説もかすりそうですね。殆どただの記憶や経験だけの判断からですが、と言うことは事故調も自分と同じようなことを考えているんでしょうね。現場にて検証が済み確定段階で過去からの事象を照らす合わせた結果、やはり考えは事実に近いものであったと言うことでしょう。
 ブレーキ跡も見つかったようで。ただ、先頭車両の脱線による空気配管の断裂が影響した後部車両のブレーキ痕ではないか、という疑問が頭に・・・。あれだけ緊急ブレーキと叫んでおいて、今になって若干持論に揺らぎが出てきました。もう少し事故調の様子を見てみることにしましょう。
 8mのオーバーラン報告、あれって嘘だったんだそうで、司令所から少しでも怒られないように運転手が車掌に頼んだようですね。
 福知山線は、8両がホームの収納限界だったと思います。そこを40mオーバーランしたとなれば、少なくとも1両半はホームからはみ出していたことでしょう。
 そりゃお客さんから文句の一言も出ますね。
 関西私鉄の多くは、構内進入にATS-Pを用いた速度制限信号を出していて、オーバーランは極力起こらないシステムになっています。
 それでも起こってしまうことはありますが、JRのように最高速度域からブレーキを開始して、そのまま停車するといったオーバーランが起こりやすい運転管理にはなっていません。
最高速度域からとは言っても段階的に速度は落としますが、80〜90kmで駅構内に進入するわけですから、少し目測を誤ればオーバーランしやすくなると言うことは想像するに容易です。
 大阪環状線103系)なんかは車齢が高いこともあり、また空気ブレーキを多用することから乗車人数にブレーキ性能が左右され易いため、オーバーランはよく経験しました。といっても引き返すほどではなく、およそ4mほど(およそ扉2ヵ所分)までが殆どです。
 207系のブレーキは常用フルノッチブレーキであっても殆ど主電動機による回生ブレーキであり、摩擦ブレーキは適宜加えていくものであったと思います。
 通常のブレーキなら15kmほどまで摩擦ブレーキは使用しません。
 さて、話は変わりますが、8mのオーバーランで後退をしなければならない状況になるでしょうか?
 普段乗車する学研都市線は未来の8両化に対応するためかホームの有効長が長いため、8mではホームからはみ出すなんてことはあり得ないことでしょう。ただ、停車目標から3〜4mも離れると、大概の運転手は後退して本来の位置に近づけようとします。しかし、例えそれが8mでも、出発が1分30秒も遅れることはないでしょう。自分が経験した限りでは、停車後、扉が開くまでの時間は20秒がいいとこです。
 ところが、40mのオーバーランならどうなるか。きっと1分30秒で元の位置に戻す事は可能と思います。後方の安全確認が事実上不可能な運行であるため、連結時と同じ5km以上の走行はしないでしょうが、1ノッチで加速、惰性、ブレーキ、停車をおおよそで考えても、明らかなオーバーランでは躊躇無くすぐに後退行動に入るでしょうから、むしろ40mのオーバーランであることから1分30秒が妥当な数字となるのではないでしょうか。8mで1分30秒ももたもたしてくれたらたまりません。
 それにしても、今更になって「複合要因が事故の原因」は無いのではないでしょうか。単一要因だったら事故当日にもわかったでしょうに。
 JRの危機管理システムには問題があったことは前々から言われていたことですが、ATS-Pの設置が6月の予定になったのも宿毛駅での終点衝突事故が起こってから。関西私鉄ではもうずいぶん前から採用されているのですから、遅すぎる対応が招いた最悪の事態だと言えるでしょう。
 ただ、そんなこと言えたからって亡くなった方は還ってこないのですから、本来こんな事を述べる事も悲しいことなのです。楽しく何かありません。好き嫌いはありますが、自分にとって電車は夢のある乗り物、新しい車両から引退していく車両、全てが憧れです。今後起こらないようではなく、過去にも起こってはいけないことです。